世界が愛した港町、
神戸北野の多宗教
神道の生田神社と北野神社、仏教のモダン寺、キリスト教のカトリック神戸中央教会、ハリストス正教会、聖ミカエル教会、神戸マリナーズセンター、神戸教会、神戸栄光教会、神戸聖愛教会、賀川記念館・日本基督教団神戸イエス団教会、ユダヤ教のシナゴーグ、イスラームの神戸モスク、関帝廟、ジャイナ教寺院、シク教、ヒンドゥー教などの多様な宗教とコミュニティが神戸の北野山本地区という狭い地域に共存してきたことは、国際的に見ても稀有な現象で歴史は例を見ないものである。
半径約1kmにこれほどの
多くの宗教施設があるのは、
全国的に神戸北野山本地区だけ
と考えている。
異人館街として有名な神戸の北野山本地区は、住宅地でもあり、1868年の神戸港開港に伴い多くの外国人が共存し生活している。
神戸の港から歩いて30分、都心から歩いて10分の高台に位置するこの地区の歴史を踏まえ紹介していきたい。
神戸・北野の歴史は、治承四年(1180)の福原遷都に際し、平清盛が北野天満宮をこの地に勧請したことに始まる(現・北野天満神社)。福原(兵庫)を国際貿易都市にしようという清盛の願いは、足利義満によって発展、近代になって飛躍することになる。 明治時代、日本政府は、東は生田川、西は宇治川の範囲を限って、外国人と日本人との雑居を認めた。外国人居留地から山手に延びる南北道が整備されて、山手の高台には外国人住宅が集まった。それら異人館は、ベランダ・ベイウィンドウ(張り出し窓)・鎧戸・赤レンガ化粧積み煙突などを特長とする「コロニアルスタイル」のほか、ヨーロッパやアメリカ、中国等のさまざまな様式にも影響を受け、個性的な名所となっている。平成七年(1995)1月17日に発生した阪神・淡路大震災で北野は大きな被害を受けたが、残った歴史的建物は全国の自治体・大学・研究機関・ボランティアの支援を受けて修復作業が進められ、観光地として復興を遂げた。
北野には様々な宗教施設が存在している。神社(北野天満神社)や仏教寺院(浄福寺)はもとより、神戸中山手教会(カトリック)、モスリムモスク(イスラム教)、シナゴーク(ユダヤ教)、バグワン・マハビールスワミ・ジェイン寺院(ジャイナ教)、神戸ハリストス正教会(ロシア正教)、神戸バプテスト教会(プロテスタント)・・・それぞれが歴史的なコンテクストを反映して、地域全体に多様性と豊かな文化の共存をもたらしている。このように狭い地域に多くの宗教施設が共存するのは世界的にも珍しく、近くには建築物としてもユニークな関帝廟(中国寺院)や神戸本願寺別院(モダン寺、浄土真宗)がある。
神戸という地名は、生田神社を守る家「神戸(かんべ)」に由来するが、これを「神」の「戸」と読みかえ、世界の宗教の入口と見立てることもできよう。
北野の一角に「『神戸ユダヤ共同体』(神戸ジューコム)跡地」と記された案内版がある。リトアニアの日本領事代理だった杉原千畝がユダヤ人難民に発給した「命のビザ」により迫害から逃れたユダヤ人たちと、地域の人々との間には、あたたかい交流があったことを今に伝えている。
北野を舞台とする物語には、ユダヤ人とドイツ人の相克を扱った手塚治虫の長編漫画『アドレフに告ぐ』があり、稲垣足穂の『一千一秒物語』は、幻想的な北野の夜を反映した文学作品として知られている。ほかにもどんな文化遺産があるか、調査していく所存である。
河内厚郎
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西宮市うまれ。甲陽学院(中高)・一橋大学法学部・舞台芸術学院(夜間)卒。演劇評論家として執筆業に入り、「関西文学」編集長を2期15年つとめる。阪急文化財団理事。兵庫県立芸術文化センター・特別参与。はびきの市民大学学長。「平和共栄の街、神戸・北野・山本地区の世界文化遺産登録をめざす会」代表。日本センチュリー交響楽団評議員。和文化教育学会理事。KCAシャンソンコンクール審査委員長。兵庫県自治学会評議員。「宝塚映画祭」実行委員長。人形浄瑠璃街道連絡協議会顧問。「関西広域連合」関西観光・文化振興計画検討委員会委員。広告電通賞選考委員。
兵庫県文化賞、読売賞(読売新聞大阪本社)、文化プロデューサーとして「咲くやこの花賞」(大阪市)、「えびす懸賞論文」最優秀論文賞(西宮神社)等を受賞。
著書に『淀川ものがたり』『わたしの風姿花伝』、編著に『神戸からの伝言』『手塚治虫のふるさと・宝塚』、多田道太郎・毎日新聞との共著『阪神観―「間」の文化快楽』、桂米朝・藤本義一らとの対談集『関西弁探検』。有栖川有栖との対談集『大阪探偵団』など。井植文化賞(井植文化財団)選考委員。
時事通信の書評を担当。神戸夙川学院大学教授を歴任。阪神ゆかりの芸能者(太夫)百人を百年かけて顕彰していく「百太夫広場」の構想を打ち出す。21世紀「ものがたり街道~三十三所 巡礼」「ものがたり街道II~こころの道行二十番」を制定。
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